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# 『プリズナーズ』
こんにちは、蓮です。

5月3日から全国ロードショーが始まった『プリズナーズ』を見てきました。ある日突然娘が失踪してしまった父親が主人公。警察の対応に納得のいかない彼は、一旦は拘束されたもののすぐ釈放となった容疑者が誘拐犯であると確信し、自らの手で娘の居所を掴もうと行動を起こすのですが…。

これ、失踪事件の謎を追う只のサスペンスだと高を括っていると、奈落に突き落とされます。予告編を見てある程度予想はしていましたが、その予想を上回るヘビー級。正直、かなりイヤ〜な気分になる映画です。何しろ、出てくる人が殆ど嫌な人間ばかり。いや、普通の人間に潜む嫌〜な面=暗部が、彼らが追い詰められる中でどんどん炙り出されてくる、と言った方が正確かもしれません。

絵に描いたような“悪人”ではない、寧ろ、その気持ちには痛いほどわかる部分もあるので、余計にやり切れなくなるのです。彼らにどこまで共感できるか、或いは否定したくなるかは、個人差があると思いますが(私は完全に後者でした)、ネタバレを避けるために詳しいことが書けないので、ぜひ実際に見て判断してみてほしいと思います。

なお、イヤ〜な気持ちになるヘビーな映画とは言っても、作品としてはかなりよく出来た力作です(メジャーな商業映画の限界を感じる部分もありますが)。約2時間半と、分量もかなりヘビーではありますが、寝不足の中を観に行っても眠くなるどころではありませんでした。俳優も皆巧いです。特に主人公を演じたヒュー・ジャックマンは、日本でもお馴染みの『X-MEN』とも『レ・ミゼラブル』とも全く違う顔を見せているので、見たら驚かれる方も多いでしょう。

個人的には、アメリカの思想や宗教観の一端が垣間見えるという意味で、文化論的にもとても興味深い作品だと思いました。映画は祈りの言葉で幕を開け、続くシーンでは主人公が息子に、自分が父親から学んだ「常に備えよ」という教訓について語り、何が起きても自分で何とかして切り抜けるのだと諭します。アメリカに昔から根強いと言われる、この保守的な個人主義が、思い込みや過信と一緒になった時にどうなるのか。そうした思い込みや、自分に都合のいい論理といったものを正当化する上で、宗教や信仰がどんな役割を果たすのか。そうした点に着目しても、非常に考えさせられる作品です。

ちなみに、見終えてから気付いたのですが、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは、2010年にジニー賞(カナダのアカデミー賞的な賞)8部門を制覇した加仏合作映画『灼熱の魂』を撮った人です。この映画、日本で公開された年の私のベスト1でした。これ又ヘビーな作品ですが、好き嫌いで言うと、私的にはこちらに軍配が上がります。機会があれば、ぜひ。

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スリルは満点そうですが・・・同年代の娘さんを持つ親には余りの迫真の演技にショッキング過ぎて観るに耐えないかもしれませんね ^-^; Toko
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