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# インドの村のはなし?
さふらんです。

今から8年前の2005年のこと、インドはケララ州のある村に調査に出かけました。首都デリーからいくつかの町を経由してケララ州の商都コーチンへ、そこから電車でトリシュールという町に向かい、さらにバスに乗り換えて海を目指すとその村はあります。

村唯一の舗装道路である州道が村の中心で、道沿いに村役場や食堂、雑貨屋などが並び、そこから葉脈のようにのびる未舗装の道を歩いていくと、うっそうと茂る椰子の森の中に集落が見え隠れし、緑が少し薄くなって明るくなったと思うと目の前に海が広がる、のどかな風情の村です。

8年前は地元の学生に通訳を頼み、村人たちへのインタビューを行いました。村にホテルはなかったので、トリシュールから毎日村役場に通い、村を回り、調査票をもって村人たちに質問をして回りました。つてを辿って村に行き着いたはいいものの、気がつけば帰国日も迫り、私は焦っていました。

通訳を引き受けてくれた学生は控えめでまじめな性格の好青年だったのですが、通訳としての技術には問題があるように思えました。Why....? で始まる質問にYes! と答えられたときはガックリきたものです。

そんなある日、彼が村人とずいぶん長く話しているのに、訳される答えがとても短いことが気になり始めました。村人の答えを勝手に省略して不正確に伝えているのではないか、という疑念が湧いてきたのです。その旨を伝えてみると、調査とは関係のない話をしていた、と言われ、私は思わず、時間がないのに無駄話などしないでほしい、とやや強い口調で言ってしまいました。

その時、彼に言われたことが今でも心に残っています。私たちがそのとき話を聞いていたのは、村の中でも比較的貧しい暮らしをしている漁師の一人でした。彼の生活について話をしていくうちに、漁師は日頃の生活の苦しさ、厳しさを通訳の青年に訴え始めたというのです。話を聞いてあげるべきだと思った。と彼は言いました。

私もそれを聞いてハッとしました。確かにそういった話は、質問表には入っていないことでしたが、調査という名目で村に入り、彼らの生活について自分が欲しい情報だけを聞き出すだけ聞き出して、彼らが語りたいことには耳を傾けないとは、なんと身勝手なことだろうと気づいたのです。通訳の彼の人間らしさに救われたような気がしました。

なぜ突然8年前のことを思い出したかというと、今、その同じ村に向かっているからです。通訳をしてくれた彼とはその後 疎遠になってしまい、今回は連絡がつきませんでした。Google Map で見ると、村の様子もずいぶん変わったようです。次回はちょうど帰国後になります。今度はこの旅で感じたことを、ご報告したいと思います。

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