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# Wrong side of the bed
Toko です、こんにちは。
今週末17日(日)に、ギリシャで再選挙が行われます。その結果の如何によってもEU、延いては全世界に影響が波及するのは間違いありません。政府の債務残高(GDP比)で比較するとギリシャよりむしろ格段に悪い日本から言うのもなんですが、自分の借金を返せずにいるのに財政支援をしてきた“救済者(=IMF、欧州中央銀行、ドイツ・フランスなどの資金提供国)”側の要件に対し「やっぱり応えられないよ」と平気で言ってしまえる国民性は本当に不可解に感じてしまいますよね。

その「救済者」側の要求の一つ、今回の再選挙で最大の争点となっている財政緊縮策の是非。「継続すべきか」を問うこと自体 論外だと思っていたのですが、どうやら緊縮策に反対する勢力を支持する論客もいるようで驚きました(ご興味のある方は下記の more をクリックしてください)。一方、最近になってようやくギリシャ国内のテレビ放送で「こんなことでは子供たちの未来は債務返済で大変なことになる」といったメッセージが大々的に流されるようになったとか。いずれにしても現実的な姿勢を持たないと国家の存続自体も揺らぎかねないと思うのですが。

そして、もう一つのシナリオとして頭をもたげる ギリシャのユーロ離脱。「ギリシャのユーロ圏離脱がささやかれ始め、ギリシャの旧通貨であるドラクマが復活とともに暴落するのではないかとの懸念から、ギリシャ国民が銀行に預けているユーロを一気に口座から引き出し『タンス預金』に切り換えている」といったニュースも目にします。それに伴い金融市場では「次はどこ?」というセンチメントが自ずと広がっており、スペインが槍玉にあがっています。その実、スペイン国民も自国の財政に自信が持てないとみえて、ここ1ヵ月で家庭用金庫の売上が20%も上がっているという話です。世界の金融市場も完全にグローバル化しているので、そうなれば日本も「遠い国の話」では済まなくなるかもしれません。

ところで余談になりますが…先ほどのニュースを読んで『タンス預金』って英語でなんて言うんだろう?ふと考えました。調べてみるとやはり、英語圏では日本のタンスにあたるものが一般的には定着していないので、代わりにマットレスの下に「へそくり」などをしまう stash cash under the mattress するのが通例らしいです。つまり、ベッド枠の上にマットレスを置きますよね、そのベッド枠とマットレスとの隙間に現金を忍ばせておくということです。所変われば品変わるという感じで、面白いなと思いました。それと似た感覚を覚える表現で、

get up on the wrong side of the bed (朝から一日中 機嫌が悪い)

というのがあって、直訳すると“ベッドの間違った側から起きる”という意味になります。これは「ベッドの左側から起きると、その日一日縁起が悪い」とされる言い伝えから来ているのですが、ベッド文化ならではの表現ですね。

今回のギリシャ再選挙は、世界の明暗を分けると言っても過言ではないのですから、ギリシャ国民の方々にはぜひ日曜日の朝「必ず」ベッドの右側から起きていただいて、建設的な精神で投票に臨んでほしいものです。

***

(ギリシャ再選挙について、久しぶりに wada さんの登場になります。)

17日のギリシャの再選挙に注目が集まっていますが、現代を代表する思想家であるスラヴォイ・ジジェク(Slavoj Žižek)もこの選挙を、「西洋全体の命運を分かつ」重大な事態とみていました。London Review of Booksに掲載された論考"Save us from the saviours"(「救済者から救済を」)でジジェクは、緊縮財政と構造改革を求めるEUに対抗する急進左派連合(Syriza)を評価し、過大ともいえる程の賛辞と期待を寄せています。急進左派連合は既成政党が危惧するような貧困や混乱をもたらすどころか、市場経済のイデオロギーに対抗し、既成政党がもたらした混迷を一掃する気概を持ち合わせていると言うのです。そうするために彼らは、民主政の原理と迅速な行動とを両立させ、観光業を促進するなどして「すべての西洋人との連帯を提示する必要がある」のだそうです。

西洋を代表する文豪であるT.S.エリオットは、現代は異端か無神論かの選択しかない、つまり宗教を存続させるには党派的な精神を実行に移すしかないと述べていたのですが、今まさにこの「異端」こそが、民主主義や平等主義的な連帯といった西洋的な遺産を救うことができる。逆に選挙が急進左派連合の敗北で終われば、西洋は「アジア的価値に染まった西洋」に、すなわち民主主義を棚上げしたうえで資本主義を推し進めるような事態に陥るのだとジジェクは危惧します。

「ギリシャ人は被害者なのではない。彼らは経済的な支配階層と戦っているのであり、その闘争における連帯こそギリシャ人が必要とするものにほかならない。それは私たちの闘争でもあるのだから」。「ギリシャを所謂救済者から救うことで、私たちは西洋をも救うのである」。このスロベニア出身の論客が描くギリシャ再選挙は、EUと急進左派連合のいずれが「救済者」であるかを巡る、正統なき現代の宗教戦争であるかのように映ります。
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